「誰もがクラウドを使える社会に」JBグループ10年の取り組み~EcoOne~
JBCCが「マイクロソフトジャパンパートナーオブザイヤー」を Microsoft Azure 関連の Solution Assessments アワードで受賞したのは、2023年のこと。Azure 関連の部門では3年連続の受賞です。
JBCCでは、まだ「クラウド」に知名度もなく、理解もされていなかった2014年、企業にクラウドを利活用してもらう仕組みとして、EcoOne(エコワン)というサービスの運用を開始しました。
サービスの提供開始から10年を経た今、マイクロソフトやGoogleといった大手クラウドベンダーからも評価されるようになったEcoOne。その立ち上げから現在にいたるまで、一貫して開発・運用に携わっている担当者に、企画当初のお話から今後の展望まで聞きました。
「EcoOne」の開発・運用を担当する服部さんについて
編集部(以下編):今回は、「EcoOne」の立ち上げからずっと開発・運用に携わっている服部さんにお話を伺います。よろしくお願いします。
服部:よろしくお願いします。
編:服部さんはこれまでどのようなお仕事をされてきたのでしょうか。
服部:私は1991年に入社し、情報システム部でAS400の販売物流システムのプログラマーや社内インフラの構築を担当後、SMACにてお客様向けデータセンター管理やシステム運用・監視を担当してきました。2013年にクラウド事業部へ異動し、それからずっと「EcoOne」の開発・運用に従事しています。
編:EcoOneとはどのようなサービスでしょうか?
服部:クラウドベンダーの提供する様々なサービスを効果的に組み合わせて提供する、運用付きクラウドサービスです。Azure、AWS、Google Cloud、IBM Cloudといった主要なクラウドベンダーのサービスはすべて対応しています。
編:運用付きというのは具体的にどういったサービス内容なのでしょうか。
服部:クラウドリソースとOSSを組み合わせた環境にてサーバー監視・バックアップ・メンテナンスなどの運用をJBグループが行っております。お客様はクラウドサービスの専門知識の習得が不要で、クラウド選任の担当者が不在でもクラウド環境の安定稼働が可能になります。
編:2023年には「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー 2023」の Azure 関連部門で受賞されましたね。
服部:私たちはEcoOneの提供だけでなく、独自の「クラウド移行コンサルティングサービス」や、クラウド移行時のコスト削減に重点を置いた「アセスメントサービス」を無償で提供しています。そして、運用支援による継続的なリソースの可視化とコスト最適化で削減したコストを、戦略的分野(新たな成長分野など)への投資に振り向けるなど、企業の成長のために中長期的な視野に立ったロードマップを提供するといったお客様目線に立った総合的な取り組みを評価いただいています。
編:無償で提供しているのはすごいですね。
服部:クラウド導入前に、お客様に最適なクラウド移行計画を十分に練ることで、クラウド移行のメリットを最大化することができます。そのため、お客様には「クラウド移行コンサルティングサービス」や「アセスメントサービス」を必ず実施していただきたいと思っているので無償で提供しています。
クラウドはまだ様子見の時代に立ち上げた「EcoOne」
編:「EcoOne」のサービス開始はいつだったのでしょうか。
服部:ちょうど10年前の2014年に提供を始めました。
編:10年前となると、企業のクラウドサービスの利用状況はどうでしたか。
服部:当時の利用状況はオンプレが主流で、世間の空気は「クラウドはまだちょっと様子見」というような感じでした。
編:そうだったんですね。そのような状況でなぜクラウドを推そうと思ったのでしょうか。
服部:世の中の変化に合わせるように、2013年にクラウド事業部が設立され、JBCCがクラウドへ参入しました。クラウド事業部のメンバー一丸となり、クラウドについて研究した結果、クラウドが非常に便利なサービスであることを理解しました。また、JBCCが提供してきた付加価値サービスをクラウドと組み合わせることで、お客様には絶対的なメリットがあると考えました。
編:お客様がクラウド導入に踏み切れなかったのは、具体的にどんな理由でしたか。
服部:ITインフラにクラウドを採用するとなると、まだ自社のクラウド技術者が育っていない中で本当に運用しきれるのか、何か問題が起きた時に対処できるのか、といったクラウド運用に対する不安が大きかったです。
編:自社に導入するとなると運用面はとても不安ですよね。そのクラウド運用に対する不安はどのように解消したのでしょうか。
服部:まずは、お客様にクラウドについて「知ってもらう」「使ってもらう」必要があります。そして、お客様が利用する際には、「安心」「安全」「便利」な印象を持ってもらいたいと考えました。
私はクラウドビジネスを支援する立場であり、お客様と直接接するメンバーからさまざまな相談を受けました。その中で、お客様はクラウドの魅力を理解しているが、運用面で躊躇してしまうケースが多いとわかりました。そこで、お客様がすぐに利用できるように、クラウドの専門家がサポートし、簡単に利用できるクラウド環境を提供する必要があると思いました。それが、クラウドベンダーが提供するIaaSサービスにクラウド運用サービスを組み合わせた運用付きクラウドサービス「EcoOne」です。
編:なるほど、「EcoOne」の誕生ですね!運用をマルっとおまかせできたら、クラウドに対する障壁はぐっと下がりそうです。
服部:そうなんです。クラウドに興味があるお客様は多かったので、課題となっていたクラウド運用をJBCCが請け負う事で、絶対にクラウドの導入が進むと自信がありました。
編:サービスの具体的な内容はどのように考えていったのでしょうか。
服部:最初に、目的のクラウドサービスを実際にテスト環境で作ります。そして、構築作業と運用作業を分類します。作業項目は、「EcoOneが提供する範囲」「ITSのSEサポートが提供する範囲」「お客様が対応する範囲」に分けます。そのうち、「EcoOneが提供する範囲」の対応項目をサービスとして提供しています。
大変なのは、サービスの範囲を設定することです。お客様にとって便利なサービスにするために、「EcoOneが提供する範囲」をどれだけ拡大させるか調整するのが一番大変です。クラウド技術の進歩やクラウドに求められるものも変化しているため、サービス範囲は都度調整しています。
時代の変化でお客様のクラウド利用が拡大
編:サービスの提供開始後はどうでしたか?
服部:最初の頃は、EcoOneサービスを含めたクラウドの使い勝手を確認されるような感じでした。その後もしばらくは「特定のケースでクラウドを使う」ような状況でした。
しかし、徐々に時代が「常にクラウドを使う事が当たりまえ」に変わり、お客様のクラウド利用が大きく進みました。
自前でクラウド環境を運用管理されていくお客様もいらっしゃいましたが、お客様の多くはクラウド技術者が不在な状況でした。
そのようなお客様に「EcoOne」はまさにぴったりなサービスでした。
編:お客様からはどのような評価をいただきましたか。
服部:お客様から「サーバーの管理が不要になり、大変楽になった」「インフラにあまり詳しくない私たちにはとても良いと感じている」とおっしゃっていただき、お客様のクラウド利用にお役に立てたのかなと嬉しく思いました。
今では「EcoOne」によるIaaS環境運用とOS/ミドルウェアの構築・保守がワンストップで可能になり、よりクラウドがご利用しやすくなっていると思います。
お客様のクラウドシステム担当者という気持ちで運用
編:「EcoOne」の運用で心がけていることはありますか。
服部:自分達がお客様のクラウドシステム担当者、という気持ちでEcoOne環境を運用する様に心がけています。
例えば、コスト最適化ではクラウド環境ご利用開始後にリソース状況を分析しています。そこでは、ご利用いただいているサイジングが適正なのか、利用料を節約する方法はないかなど、お客様の一員となって考えることで高品質の運用サービス提供ができると考えています。
編:今取り組んでいること、もしくは今後の展望を教えてください。
服部:クラウドは、新しい技術、サービスが次々に出てきて、どんどん便利になってきています。しかし、そこには構築・設定などクラウド特有の知識が必要になります。それだと、なかなか導入に踏み切れないですよね。私達には10年間の運用ノウハウがありますので、クラウドを誰もが利活用できるようにご支援できるサービスをご用意しています。そして、これからもクラウド利用のメリットをお客様へお届けできるような活動をしていきたいと思っています。